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近藤輝一×髙道屋沙姫 対談 私たちの今までと、『バス・ストップ』 (前編)

特別ゲスト(声の出演)・ナレーター


髙道屋 沙姫(たかんどうや さき) かまとと小町主宰。チクッと胸が痛くなることをクスッと面白くをモットーに創作を行っている。

俳優/脚本/演出の他、高校演劇では審査員や講師として指導を行い次世代の育成にも力を入れている。 2020 年持病の再発によって、障害者になり現在はコロナの為活動休止中。

そして活動復帰に向けて奮闘中。

車椅子を爆走させるかっこいい女優になりたくて試行錯誤中。YOYO₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾






※本対談は2022年2月ごろに行われました。

本対談は本編の内容を含みます。





Q.二人はいつから親交があるの? 近藤 大学二回生の時に髙道屋が休学明けで同じクラスに入って来て。

その前から噂は兼ねがね聞いていたんだけど。いかつい人が 入ってくるって。 髙道屋 語弊がある...色んな語弊がある(笑)。 近藤 でも高校演劇から作、演出もずっとやっててブロック大会まで行ってる人は居なかったから。そういう人が入ってくるって いうのを聞いて、凄く嬉しかったのを覚えています。

Q.かまとと小町を立ち上げた経緯 髙道屋 2015 年の在学中に立ち上げたかな。私が大阪短編学生演劇祭に出たいなあと思って。私と一緒にお芝居してくれる人、手挙げて!みたいな感じで入ってくれたのが2人。

その 2 人と一緒にそのまま劇団として活動していく事になったかな。 近藤 かまとと小町は、立ち上げた瞬間に優勝したよね。 髙道屋 そうなの、ありがたいことに。でもねその年狙い目だったの。ここで一発ドンっといったら、後々自分たちの良い形で進められるかもしれないなと思って、ヤマ張って出したって感じ。 近藤 髙道屋のやる事って結構計画的だよね。 髙道屋 結構そういう事を考えるのは好きかもしれない。自分の得意な事と、出来る事を考えてマッチさせて前に出してくっての は好きかも。 近藤 俺は自分の得意な所は未だに分かっていないんで......。

髙道屋 脚本やろ!(笑)

近藤 泳ぎ方を知らないまま海に飛び込んだって感じだけど。本をやったら良いのか演技をやったら良いのか演出をやったら良い のかみたいなのが全然......。戦い方が未だにちょっと分かってないんだな。

Q.近藤輝一ってどういう印象? 髙道屋 私は一番初めに輝一君に何て言われたかって、「ぶっ潰してやる!!」って言われたの!Twitter で「ぶっ潰してやるか らかかってこいよ」的な事を言われて(笑)。

でも実際に大学に復学したら輝一君がめちゃくちゃ優しかった訳。この人超腰低いじゃん!と思って。あなた、どっち!?みたいな。でもびっくりするタイミングで大きい声出したりする時もあるし。私は大きい声苦手だから、輝一君が急にウオオオオ!とか言い出すと何!?ってびっくりしちゃうのね。 近藤 髙道屋がびっくりしすぎな所もあるけどね。 髙道屋 それもあるかもしれんけど、輝一くんって二重人格なんかなって思って。ほんまの人間性ってどっちなんやろうって凄く 困惑して(笑)。

『わたし、ときどき』(2018 年シアターグリーン学生演劇祭出展作品)に出演するってなった時に、基本的に同期の 脚本を自分がやるって事に、最初は凄く抵抗があって。演出も同期から受ける事にも抵抗があって、今まで自分が客演で関わってきた人達ってみんな自分より年上やったから。それに、変に6歳からお芝居とかやっちゃってるから、自分の中での演出のプラン とか役としての組み立て方とかっていうやり方も定まっちゃってる部分があったから。同期に演出をつけてもらう、同期の脚本を読むっていうのは自分の意見をどこまで言っていいだろうって部分もあるし、言いすぎるとうざいなって思われるんかなとか。

そこでやっぱり同期独特の、友達でもあり仲間でもあり、でもこれは仕事だからって割り切らなくちゃって気持ちもあって。どの感情を優先してお芝居作ればいいんだろう?みたいな葛藤もあったりして。だから「わたし、ときどき」の時は複雑な気持ちで稽古場にいて。私なりの考え方で演出を持ってってみたりとか、こういう風にしたら、こことここの繋がりも出てくるんじゃないかなって勝手に自分の中で演出プランを輝一君に話してみたりもして。でも見事に却下されていくから!(笑)輝一君はやっぱり作家としたら、作品を完璧に、ガチガチに仕上げてくるタイプの作家さんやなって思ったから、作品に対する熱量が全然違うと思うねん な。役者として作品を見た時に、ずっとその作品と向き合っていた人の熱量にどんだけ追いつけるかなっていう。私がそこにどん だけ追いついて、演技プランを持っていけるかなとか、ついて行けるかなとかっていうのは割と不安でもあったし、勝負だなと思 ったかな。

Q.近藤が髙道屋沙姫を演出してみて『わたし、ときどき』 近藤 すごく真摯に向き合ってくれてたから面白かった。

印象に残っているのが「ドライヤーで髪乾かしながら台本読んでたら」 みたいな話を髙道屋がしていて、「ドライヤーしてる時に本読む奴なんていてるんや!」って思ったのを覚えてる。当時は今より も本にこだわってやってたから、ごめん違うって何回も言った記憶もあり、でも髙道屋が頑張って合わせてくれたから喧嘩もなく、 もの凄く苦労かけたなって。髙道屋って気が強い人ってイメージがあるんだけど、なんかね本当に、演出家対俳優ってなったとき に割り切ってやってくれたなって。髙道屋だから出て来た演出もあるし。単純に俳優として面白くて、良い時間だったなと思いま す。 髙道屋 個人的には輝一君に対してディスカッションを打ち続ける時間やった気がする。役者としては作家とか演出家に気付かせたタイミングって凄く気持ち良いと思うねんな、こういう道あったんだ!ってそれは考えつかなかった!って思わせるような演技 プランを出してやりたいって気持ちがあった。

Q.役者同士で見たときのお互いの印象 近藤 大学時代の学外公演の時、髙道屋台から落ちてたよな(笑) 髙道屋 そう、場当たりの時だったかな?舞台美術から落ちちゃって。病院に連れてってもらって......。脳震盪とかなってないか 検査受けて、でも目がすごい腫れちゃって舞台の前にそれを必死でメイクで隠して(笑) 近藤 髙道屋って意外とドジなんだって思ったよね。 髙道屋 そう私めっちゃドジやし割と天然やと思う。 近藤 それを全く感じさせないのよね、舞台やってたら。 髙道屋 そうなんや......。なんかね、すごい気が強い人やと思われるのよ、なんでなん!? 近藤 それは皆思っているよ(笑)。忖度しないというか、遠慮しないというか。人付き合いに関してはとても丁寧なんだけど。

髙道屋 ありがと。

近藤 ここはケジメつけとこうや!って所とかで締めたり、皆したいけど出来ない事をちゃんとやってくれるから。賢いんやと思 いますね。 髙道屋 賢くないんだよね。賢くないから困ってるんだよね。話を戻すけど、役者としての近藤輝一は「もったいないな」と思う。 今は。今はね!(笑)。大学生の時は、私が男だったら真正面から勝負したいなって思う相手だった。輝一君と真正面から同じ役で、どっちが良いか勝負したいって思ってた。なんか本当に自分が女性であるという事が凄く嫌だなって思ってて。比べられないじゃ ない?その時点で。比較するって悪い事みたいに考えられるけど、自分の今居る位置みたいなものを、はっきりさせることも出来 ると思うねんな。だから、私から見て輝一君はすげぇ上手いなって思ってて、芝居が。安定してるなって。大学生にして浮ついて なくて、地に足しっかりついてて。渋かったね。やっぱそれは輝一君にしか出せない味だと思ったから。私が演じる事によって、 そこに挑んでいけるのかを知りたかったなって思う。同性だったら良かったのになって。女性だから戦えなくて。同じ役とかも出 来ないしそういう葛藤はあったかもしれませんね。物語ってどうしても男性が主人公の場合が多いんじゃないかなって思ってて、 そういう意味でもやっぱ男は徳だよなって気持ちがあったから。私も男に生まれたら近藤輝一と張り合って、自分がどこまでやれ るか比較したかったのになって気持ちは凄くあったかな。 近藤 そんな大層なモンでもないけれども輝一は。それでも共演した時は「こいつより客の人気とったろ」って気持ちはありまし たね。人気をかっ攫うように計画を練っていた!(笑)。髙道屋が真っ直ぐ投げてきた球に対してスカしたりとか。狭量な計画を立てていたような気がするな今思えば。

Q.バス・ストップについて 髙道屋 まずタイトルが凄く良いなと思って。バスって、どっかに行くための交通手段としての乗り物やと思うけど、「ストップ なんか!」と思って。どういう意味なんやろとか、めっちゃ考えた。場所としてバスストップなのか、人生の中で、今止まってる っていうタイミングだよって事なのか。どういう意味なんやろと考えながら台本を読んでて。その中で登場人物達は、各々に自分の中で解決しなくちゃいけないけど、解決するタイミングっていつなんだろうとそれぞれが凄く悩んでるなと思ってて。何かバスが動き出したのと同時に、みんなのタイミングが一緒にワーッて動き出した感じがして!!それがすごくワクワクして面白いなっ て思った。後は出てくる登場人物達の名前の意味とかも考えて読んだりしたら、見るってそういう事なのかとか、言葉ってそうい う事なのかとか、ビンゴ!ってそう事なのかとか。運転手、連れてってくれる人ってそういう事なのかとか、なんか色んな伏線み たいなものが綺麗に回収されて行って。最終的に黄色いお芝居って何なんだろうなとかも考えたんだけど、なるほどな、これは黄色いお芝居だ!ってなった。 近藤 おぉー! 髙道屋 申し訳ないけど、『ナイト・クラブ』(前回公演)の時は黄色いお芝居だとまでは思わなかったんですよ。脚本が難しすぎ たの。私はやっぱり役者としても本を読むから、これ俳優として読むにはかなり難しいなって。そう思いながら読んでたから、こ れは黄色いかー?難しいぞー?みたいな気持ちがあって(笑)。ナイト・クラブと比べると役者の負担は大分軽減されたお芝居、分かりやすくなったと思ったし受け入れられやすい雰囲気が前作よりあるなと思った。どの目線で見たとしても、どこかには必ず感情移入出来そうだなって思って。そういう意味でも良いなと思いました。 近藤 やったー。 髙道屋 進んだ!って感じがしたから、良かった!って思った。読み終わった後は。ストップしてる所からスタートしたんだ、ちゃんとバスが動き出したんだ!みたいな。動き出して、また家族が集結して、そこからまた1回みんなで立ち止まって私達ここでまた巡り会ったよねってなって。そっから家族の再スタートなんだ!みたいな♪なんかその先のことまで考えてね、凄くね、嬉しくなった。アハハハ。 近藤 あんましてこなかったもんな。そういう、具体的にどうなるのかみたいな芝居を。 髙道屋 そうだね。でも、『わたし、ときどき』の時にちょっと近い感覚があったかもしれない。進みだした!みたいな。だから ちょっと懐かしいと思った部分もあったのかも。これは黄色いお芝居だ!と思った。 近藤 やったー!......対談でやったーとか書かれへんな(笑)。結末で登場人物達が前を向くなんて事はどこまで行っても作為的な 事でしかないなって意識があって。『わたし、ときどき』の時も、ラストシーンを何回か変えて悩んだんだけど。めっちゃ嘘やなとか半分思ったりしてて。ただ、今回の『バス・ストップ』に関しては、前を向くべくして登場人物たちがラストへ進んでいく事の面白さみたいなものを今回書きながら感じましたね。いつもと違って、ラストシーンで明確に前を向こうみたいな意識で書き始めてたからね、そもそもが。

いつもはラストを考えないで書き始めるから。だから、進んで行った事が良かったと思ってもらえるのは嬉しいですね。「これ嘘やんけ!」って言われちゃうのが怖かったんです、実は。 髙道屋 うーん。登場人物達の人間味と言うか、安定しすぎてる人達が沢山集まって作られた作品ってすごい嘘っぽく見えない?

近藤 うん。 髙道屋 私は役者の皆さんとはまだお会いしてないけど、まず登場人物達自身に揺れがあるなって思ったんよ。皆芯がしっかりし すぎて無くて、ちょっとぶれてる。そのぶれてる感じとかがバスに揺られてる雰囲気と似てるのかもしれないと思ったりした。人間って一面だけじゃなくって色んな見方が出来るから。例えば一番最初のシーンでお母さんが出ていく時に、あれミスリードから 始まってるなと思ったんだけど、ほのかに男性の香りがして女の子が追いかけて行くっていう所とかも、まぁ男性っちゃ男性(光 一:実の父)やん。会うのは間違ってはないけど、そういう意味での男性じゃなかった。っていうところに何か少し安心したりして、半分当たってて半分外れてるみたいな感じのバランスとかが、実際のバスも割とそんな感じがして、時間丁度に来るときもあればめちゃくちゃ遅れてくるときもあるし、なんならちょっと早く来て待ってくれてる時もあるみたいな!そういう色んな面白さがあるなって思った。先に待っててくれたり、後ろから追いついて来たり、ジャストで来てくれたり。バスっていう乗り物ともの すごくリンクした登場人物達が出てくるなって思って。

このバスをきっかけに物語が広がってるんだなっていう感じはしたかな。それが面白かった! 近藤 大分良い読み方をして頂いている......。 髙道屋 良かったです(笑)。


本日はここまで!!

明日の後編ではより作品の深ーい話をしていきます。


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